PC DRUG』

 

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 ニノは一体家で何をしているの?

 こういう疑問がおそらく読者にはあるだろう。答えは簡単「遊んでる」だ。ニノはまず何よりも先に楽しいこと、面白いことを求める傾向がある。自分が遊びたいと思えば、講習の一週間や二週間、平気で出ない。もちろん彼も理由無しでは帰れないので平日は毎日歯医者の予約(ウソ)でいっぱいになっている。ホントに情けないやつだ。

 ニノの遊び仲間は自宅在住のパソコンさんだ。パソコンさんはニノの命令をしっかり聞き、実行している、恐るべき忍耐力の持ち主だ。毎日ニノに命令されるとはカワイソウな役回りだが、引き続き頑張っていただくしかない。

 ニノのするゲームはいかがわしいものばかりだ。ちょうど都内の電気街で一番有名なあの場所にいるような人物だと思ってもらえればいい。ニノがいつからそんなものに入り浸っているようになったのかは不明だが、入学時には既にそうであった。周りの人間から○リ、といわれると、突然暴力的になり首根っこを掴むという暴挙もあった。そんなにムキになるとはますます怪しいぞ、ニノ。

 ニノが○リだというのは未だ不確定だが、それを裏付ける証拠品は山ほどある。あとは本人がそうですと認めるだけで証明できるのだが、なかなか強がりな為か口を割ろうとしない。多分「違う違う」と彼は最後まで言い続けるだろう。悲しいから止めなさいね、ニノ。

 ちょっと前に、風の噂でこんなことを聞いた。理系の女子が

「ねえねえ、知ってる? ニノってさぁ、○リコンなんだって〜」

「え〜、あの顔で○リコン?」

などと囁いていたらしい。これは遂に理系にまであの男が○リコンだということが広まっている証拠ではないか。残念だが、私にはもう打つ手はない。

 

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ニノの読んでいる本も特殊なものが多い。

「読むのはいろんなやつ読むよ」

と言っていたが、アイツが普通の真面目な本を読んでいる姿は見たこともない。実際、本を読めば、ある程度の教養を得ていると思うのだが、彼はそうでもない人間だ。あとアイツの読むスピードは非常に速い(と、彼自身は言っていた)。五分間で活字のみの文庫本を七十ページほど読むのだから驚きだ。なんでもナナメ読みで読んでいるらしいが、現代文のテストに限って、読めないらしい。私が本を普通に読んでいると、

「なんだ、読むの遅ぇなあ」

などと癪に障るようなことを平気で言ったりするのだ。お前は文字を読んだんじゃなくてただ見えただけだろっ!

 

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